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2014年1月5日(日)に 愛知教育大学学術情報リポジトリ は正式公開5周年を迎えることができました。
日頃より,リポジトリをご支援くださっている皆様に心より御礼申し上げます。正式公開5周年記念として,
本学の理事であり,リポジトリ掲載論文数が最多(88件)である都築先生にインタビューを行いました。


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↑ 都築先生


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研究者総覧(日本語)




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 ↑ インタビューの様子です

都築先生インタビュー  2013年12月20日(金)  於:理事室

■ リポジトリへの論文提供について

インタビュアー: これまでに88件の論文をご提供いただきましたが,普段からリポジトリへのご提供を意識されていましたか。

都築先生: 大学で学んだ事,研究した事を地域社会に還元していく方法として,リポジトリが1番良いと思いました。自分が書いたものについてはリポジトリに出そうという気持ちは積極的にありました。

インタビュアー: ご提供いただいた論文の中で,印象深いものはありますか。

都築先生: 博士課程の研究論集,講座の紀要,研究会誌の論文など,それぞれに思いがあります。研究成果としての論文は、若い人たちの業績が上がるように,研究分担が明確になっている場合は,共同研究者として名前を載せて共同論文としてまとめてきました。そういう意味で全てに思い入れがあります。

インタビュアー: チームで行った研究が多いという事でしょうか。

都築先生: 個人の研究成果は,学会誌にも出すことができます。研究を進めていく上でアイディアを共有するものはなるべく共同研究としてまとめてきました。そういう面では,共同研究してきたメンバーに感謝の気持ちがあります。

インタビュアー: 都築先生の研究分野は,共同で行う事が多いのでしょうか。

都築先生: 現在,関心のある研究分野としては発達障害・聴覚障害・特別支援教育のシステムの問題などがあります。ここ10年で特別支援教育として制度変更しているので,研究する事項が急増しています。自分1人では出来ないので,やはり共同で行っています。子どもにこちらから働きかけて,子どもがどう変わったかといった臨床研究では,私が親のカウンセリングを行い,共同研究者が子どもの治療を行うなど,チームで進めていくために共同研究が多くなります。

インタビュアー: 治療するのにも情報を集めるのにも人手がいるという事ですね。

■ 研究成果発信ツールとしてのリポジトリ

インタビュアー:  リポジトリでの研究成果発信について,研究者の立場からはどう思われますか。

都築先生: 私どもの分野で学会誌に載せようとする場合,公刊まで1年ほど掛かり,目に触れるまでに時間がかかり,遅くなります。こちらとしては書いたものを早く皆さんに読んでいただきたい,批評していただきたいという気持ちが強いです。今の心境は,研究業績よりも研究成果が現場に生かされる事を考えます。リポジトリはすぐに出せ,スピーディで良いと思います。

インタビュアー: いち早く公開して多くの人に見てもらう事を考え,その意味でリポジトリが良いという事ですね。

都築先生: たとえば理科・自然系の人だと英語の論文で書いて世界の学会誌に出せるでしょう。私どもの特別支援教育の分野ですと現場の教員など,より身近な人を対象にするので,日本語で書いて日本語で出します。英語の論文なども書きますが,今は,研究して知見が得られたならば,まずはさっと出していくといった感じですね。

インタビュアー: 目的に合わせてリポジトリを活用されているという事ですね。研究成果を多くの人に素早く利用してもらうという意味では,リポジトリは良いものかなと思います。

都築先生: そうですね,そう思います。自分の書いた論文のダウンロード数を見ると,数年前に書いた教育制度の内容は,当時はあまりダウンロードが無かったですが,最近は増えています。時代と共に,周りの人達の関心度が変わっていく様子が分かるので,毎月,ダウンロード数を出していただき,私どもに配信していただけるのはすごく役に立つし,ありがたいです。

インタビュアー: ありがとうございます。先生方に投稿のメリットを感じていただくためにも出しています。

都築先生: 私は作家ではないので,多くの人に読んでもらうための論文を書くのではなく,その時代やその時に応じて必要な研究,現場で困っている人に対して,何とか支援したい,そのテーマをうまく研究の中に位置づけてやっていますが,その時期には理解されなくても,5,6年後に見てもらっている,ということがわかると有り難いです。「今,そういう事に関心があるのだな」ということがわかり参考になります。

インタビュアー: 人文系は,情報が古くなったから使えないとも限らないですしね。その時々のものが後に活用される事もあるのだと思います。
現場で役立つ研究を,と仰っていますが,実際に先生の研究は,現場でどのように使われていますか。

都築先生: リポジトリからプリントアウトし,それを読んだよという返事を現場の先生から聞きます。例えば,共同研究した,現場にいる学部の卒業生や修士課程修了生からです。それを現場で共有するので書いたものが広がっていくようです。

インタビュアー: 過去に都築先生と一緒に協力して書かれた論文を印刷して,周りと一緒にそれを使っているのですね。

都築先生: リポジトリを通してネットワークができると思います。昔だと「別刷りを下さい」,「コピーください」というリクエストに対してファックスで送っていました。今は自由に出来ます。

インタビュアー: そうですね,ダウンロードできるので,いつでもどこでも簡単に読めます。

都築先生: それはメリットだと思います。

■ 研究内容について

インタビュアー:研究を始める段階でも,現場で役立つ事を意識されるのですか。

都築先生: 最初から意識するというよりも,研究を積み上げていく中で,今,教育現場が困っていることは何かを皆で話し合うことから始めますから,それは取り入れていますね。ただ,何でもかんでも役に立つ研究をすることをめざすという事では無いです。

インタビュアー: 他にはどういう要素によって研究内容を決められていますか。

都築先生: 特別支援教育ですと,アメリカやカナダが進んでいます。先進的な実践の情報提供を行うことも大学人の使命と思っています。最近多くなっているのは,例えはアメリカの障害者の高等教育,カナダの障害者の高等教育などです。 10年くらい前に書いたものが,今,ようやくそれらがトレンドになってきており,問い合わせが多いですね。リポジトリの効果があるのではないでしょうか。もしリポジトリが無ければ,私が書いた事は何かの引用や文献リストでしかわかりません。

インタビュアー: 探すのも大変ですしね,どれだけ残っているのかも分からないですし…。

都築先生: そうです。リポジトリの効果があると思います。外国の最新のものを紹介しても,その時点では,それを見ている人にとって,すぐには役に立たない,今すぐ適用することは難しいかもしれませんが,7~8年経つと,ようやくそれが使える段階になります。

インタビュアー: タイムラグがあるのですね。

■ 研究と達成感

インタビュアー:  次に,研究のやりがいを感じるのはどんな時ですか。

都築先生: やってよかった,という心境にはまだ達していません。研究がまだまだ未熟で「いかんなあ」と思っています。

インタビュアー: 1つ論文を書き上げても,すぐ次の課題が出てくるという感じですか。

都築先生: 私の書き方は,発達障害系の研究と聴覚障害系の研究など,根本的には共通項を見出して言いますが,そういった大きなテーマを2つ3つ同時並行で進めています。1つ論文を書き終えたらしばらく寝かしておいて,反省して,手直しします。こういう進め方は,研究者としては,雑かもしれないですね。

インタビュアー: それでは,あまり達成感を抱く余裕は無さそうですね…。

都築先生: 常に原稿に追い込まれている感じですね(笑)

インタビュアー: まだ振り返る暇も無く必死な状態ですか。

都築先生: そうです。私は,理事になる前は紀要論文や総論的なものも含めて1年に平均7本から10本くらい書いていました。理事になっても研究だけはやろうと思っていました。周囲から経営をしていないと,怒られてしまいますが(笑)
大学の理事・副学長は,研究もしながら学生に語りかけていく,普段から学生と接していなければ大学運営に活かせないと思っています。こういう立場になっても,研究はしようという気持ちがずっとありました。

インタビュアー: 生涯研究者という感じですか。

都築先生: そうですね。私どもの分野の子どもの発達研究や制度研究は,どんどん変わっていきます。例えば,最近ですと障害者の学生問題,高等教育です。大学に障害者が入ってきた場合,どういう支援をするのか,などですね。私は,それを20年前から書いているんですよ。

インタビュアー: 最近は実際にそういう事例がありますからね。

■ 本学の図書館について

インタビュアー: ここからは,リポジトリや図書館についてのご要望・ご意見があればお聞かせください。

都築先生: 私は本学の卒業生ですが,昔は,今の本館しか無く,新館が出来て,スペースが広くなり,学生がお互いに勉強するスペースも出来て良かったですね。私の学生の頃には書庫に入れなかったけれど今は入れますよね?

インタビュアー: 大学院生は入れます。学部生も教員の許可があれば入れます。

都築先生: 書庫には古くて貴重なものが結構あります。私の場合だと古いものが欲しいです。障害者の歴史研究や制度研究・法律では,古い文献に触れたいです。私は外国に良く行きますが,外国の大学では,アカデミックな評価として,図書館がどうなっているのかを見ることが多いです。本学の図書館をもっと大きくして,100万冊所蔵くらいの目標で頑張ったらいいのではないかなと思いますね。

インタビュアー: 今後も紙資料を収納するスペースはちゃんと確保してという感じですね。

都築先生: そうですね。あと,研究報告や研究成果が図書館で整理されているとすごく助かります。そういうものが見たいですね。

インタビュアー: そういったものも出来るだけ入れたいと思いますが,スペースの関係もあり,難しい問題ですね。

都築先生: 大学にとって図書館はすごく大事なものです。図書館は,本が置いてある部屋というイメージが強くあるかもしれませんが,学びがある場所です。例えば,私の場合,図書館の演習室で授業をやりたいですね。セミナー室で, 30人くらい入る部屋が2つ3つあって,図書館で概論的な話を行い,調べ物をしてみなさい,というような授業もやりたいですね。楽しんで勉強できるようなレイアウトを考えてもらって,学生の出入りが頻繁になれば防犯にも役立ちます。例えば,ガラス張りのオープンスペースで,図書館のイメージというよりもサロンのような感じで,窓際に机があり,自由に討議ができればと思います。

インタビュアー: そうですね,本棚だけではなくて学習スペースもあるという図書館のイメージが広がっているように感じます。

■ リポジトリの今後

インタビュアー: 図書館についてお話いただきましたが,リポジトリの話に戻って,図書館でリポジトリを始め電子資料の利用を活性化させる意味で,何かご要望などはありますか。

都築先生: 例えばどんなことを考えておられるでしょうか?

インタビュアー: リポジトリ担当者としては,ユーザーを広めるために学生への周知を進めていきたいと思っています。

都築先生: 現在,研究紀要なども抜き刷りを作っていかない方向なので,入学や卒論・教育実習等のオリエンテーションの中で,「色々な文献がありますよ」という宣伝をしていったら良いのではないでしょうか。リポジトリは愛教大に赴任してからのものや研究紀要等の掲載分に限られていますが,リポジトリの「その他」のカテゴリに個人が自由に載せて良いコーナーはできないのでしょうか。

インタビュアー: 今でも本学在籍中の先生が書いた論文であれば,学内の紀要でなくても大丈夫です。

都築先生: 科研とか何かの研究報告書はどうだったでしょうか。

インタビュアー: もちろん大丈夫ですよ。

都築先生: 認識不足でした。これからは,研究紀要以外にもそういったものを出すようにします。

インタビュアー: そうですね,他の先生にインタビューした際も,論文という体裁が整う前の,研究材料のような,論文とまでは行かない情報なども,研究者として共有したら役に立つ部分があるだろうから,そういうものも出していきたいということを仰っていました。

都築先生: 私どもの領域ですと,アメリカでは,ワーキングペーパーと言いますが,セミナーやシンポジウムで発表したものも高く評価されています。最後にまとまったものというよりも,研究途中で発表したものも評価が高いです。

インタビュアー: 最新のものですしね。時間が経つ前の,今現在のトレンドが出せるという意味では良いのかなと思いますね。

都築先生: そうですね。

インタビュアー: それは理系の方にもきっと言える事だと思うので,論文という体裁が整う前のものを掲載できるという事も,リポジトリのメリットとして認識していただければと思います。

都築先生: 今回のインタビューは,掲載論文が88件で選ばれたそうですね。あと2年で定年ですので100件目指して頑張りますか(笑)

インタビュアー: 書いたものを提供していただけるだけで有り難いです。私もコンテンツ数が増えると嬉しいので。そのためにも周知に努めます。

都築先生: 研究報告書とかプロジェクトの報告書とか,これから出来たものはなるべく載せるように提供します。

インタビュアー: ありがとうございます。


(インタビュー・まとめ)  情報図書課 資料利用担当係員 稲葉
(写真)  情報図書課副課長 牧野



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